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医療保険とお金~現在の医療の体制と将来

日本の医療保険の特徴は、1961年より実施されている「国民皆保険」と言う、フリーアクセスといって、誰でも料金が同じで、同じ診療が受けられる制度が維持されているところにある。

その医療費の規模は、平成27年度、57兆円、これは介護も合わせた数字だが、医療費も介護費も、毎年確実に伸びていく。2020年オリンピック開催時は68兆円、10年後の2025年は81兆円になると予測される。医療費増加の最大の原因は「医療の進歩による増加」プラス「高齢化」と言われており、いずれも避けて通れない目の前の現実である。

この国民医療費の負担構造を見ると、患者負担が14.9%、保険料負担が52.9%、公費負担が32.2%となっており、よく「公費負担がパンクす医療費る」と批判されるが、実は3割強しか税金負担はない。

国民医療費の実態は、健康保険料が大半を占めており、老齢者負担の増加と、保険料値上げの根拠はここにある。足りなければ保険料負担を増やすか、患者負担を増やすしかない。しかし、少子高齢化で保険料負担する若い人が減っているので、実に難しい局面だといわざるを得ない状況である。

 

医療費を使う状況を年齢階層別の1人あたりの医療費で見ると、75歳以上の医療費が100万円弱と、全体の医療費平均が23万6千円に対し約4倍になっている。年齢階級別の構成割合でみると、0歳から49歳までの医療費が全体の4分の1で、50歳以上で4分の3を占めている。

若いうちは病気にもならず、医療費もたいしたことはないが、年齢とともに医療費が増えるという現実を物語っている。

日本の医療保険の特徴は、フリーアクセス、金持ちも貧乏人も差別がない。日本では、これが医療における平等の原理となっているが、世界中こんな論理は、恐らくどこにもない。

世界の保険制度を持つ国は、福祉の充実したヨーロッパと産油国の一部など、世界では56カ国とまだ少ないのが現状だ。アメリカは医療保険が充実していないし、金持ちは高度な医療を、貧乏人は低い程度の医療を、というのがアメリカの平等なのだ。

例えば盲腸の手術で比較すると、埼玉の病院が37.8万円、3割負担だと11万円位のはず。ところがニューヨークでは243.9万円となり、日本の約6.5倍近い。ニューヨークに行って交通事故に遇い救急車で運ばれ、1ヶ月入院すると約1,000万円かかるといわれている。

お金がなければ医療が受けられないのがアメリカの平等である。

 

日本とアメリカ、どちらが良いかは判らないが、今後将来に亘り、「日本的医療の平等」概念を維持していくことは、かなり厳しい様相を予測される。当然ながら、自己負担に応じて受けられる医療の質は違ってくることは避けられない。すると…どうなるのか?

自動車保険と同じようにならざるを得ないと考えられる。

現状の自動車保険が「強制保険+任意保険」で成り立っているように、健康保険と任意の、民間の医療保険の2本立てとなるかも知れない。国民皆保険制度の崩壊は「想定内」だろう。

 

2015年8月31日sugiyama
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